(倉庫での見学を終え、帰路につくトクコ)
トクコ: …
(なんか、「やらかした感」があるなぁ…なんでや?
私、なんか悪いことした?)
トクコ: (別にあのオッサンに話してないし。
キレられたのが意味不明やなぁ…
しかしリーダーやらせてくれって言った以上、
もうこういう対立って避けられへんような気もするな…
でもこういうときこそ!
眼を開き、
頭を使い
感覚を研ぎ澄まして、
注意を払うべき…
むむむ…
で、でも疲れたなぁ…)
トクコ:「って……あ、あれはまさか…!」
トクコ:「…新しいスイーツの店…!」
トクコ:「こ…こんなところに…
やっぱり観察力を研ぎ澄ませていると、
こういうお店がしっかり見つかるな!
ちょっとダイエットしてたけど、
今日はもうあんなことあったし、ええやろ!
私の好きなプリンとか、あるかなぁ…
いや、この際プリンじゃなくても、
おいしそうなスイーツであれば…」
マナミ:「あれ?トクコさん?」
トクコ:「あ、マナミさん!お、お疲れ様です」
マナミ:「お疲れ様です。今、お帰りですか?」
トクコ:「え、えぇええ…ま、まぁ…」
マナミ:「…偶然ですね。
…このお店、気になりますよね」
トクコ:「あ、新しいスイーツショップみたいね。
疲れた日には甘いもんが一番やから、
ちょっと寄ってみようなぁって…」
マナミ:「……スイーツですか。
まぁ、仕事で消耗した頭には、糖分補給も悪くないですね。
私の場合、気分転換といえば散歩したり、
パズルを解いたりすることが多いですが…
スイーツもいいですね。」
トクコ:「あはは、マナミさんらしいな~!
パズルか…
きっと何かを整理して、解き明かしていくのが好きなんですね」
マナミ:「そうですね。
問題を一つずつ整理していくのは得意かもしれません。
ただ…スイーツで気分をリフレッシュするという発想も興味深いです。
自分では考えつかない方法かもしれません。
…トクコさん、リフレッシュが必要なのですか?」
トクコ:「え、あぁあ…まぁ…
…今日はちょっと色々ありまして…」
マナミ:「…倉庫に行かれていた件ですか?」
トクコ:「…うーん、まぁ、ね、そうなんです…。
あれこれ指摘したら、ちょっと倉庫の人に嫌な顔されて…。
やっぱり自分の観察が余計なお世話だったのかなって思って…」
マナミ:「…トクコさん、
細部に気づけるチカラがすごいですもんね」
トクコ:「…え?」
マナミ:「この前、自己紹介したとき…
みんなの細かいところまで気づいたり、
私のボードゲーム好きのところとか当てたり、
すごいなぁって思ってましたよ」
トクコ:「…あ、いえいえ、そんな…」
マナミ:「簡単に見落としてしまいそうなことに目を向けられるのは、
貴重な能力ですね。」
トクコ:「そう言ってもらえると救われる気がします…。
でも、周りに受け入れられる形で伝えるのって、本当に難しいですね。」
マナミ:「たしかに。
伝え方やタイミングは重要ですよね。
トクコさんのように視点が鋭い方は、特に。」
トクコ:「…え?」
マナミ:「きっと、トクコさんの鋭すぎる指摘、
相手がまだ呑み込めてないんじゃないかな…」
トクコ:「…それって、もしかして私の観察力が、
逆に仇になってるってこと…?」
マナミ:「そういうわけではありません。
ただ、鋭い視点を持つ人ほど、
相手がついてきやすいペースを見つけるというか…
そういうことが必要なのかも?
色々言われて、何となく当たってそうだと、
ついつい批判されてるように聞こえるときもありそうですしね。
…うーん、ごめんなさい。うまく言えてないかも。」
トクコ:「なるほど…そうか、
伝える順番やペースも考えないといけないんですね。
そこまで考えたこと、無かったな…
…まぁ今回の場合、
あのオッサンが勝手に盗み聞きしてただけやけど💦」
マナミ:「え?そうなんですか?
じゃあトクコさん、全然悪くないじゃないですか!」
トクコ:「い、いやいや。
でもこうやって、マナミさんと話せて助かりました。
ズバズバ伝えるだけが能じゃないですね」
マナミ:「……私もよくミスするんですよ。
つい自分のやり方を押し通そうとして、
後で反省することが多くて…」
トクコ:「そうなんですね…。
なんだか、少し気が楽になりました。」
マナミ:「それなら良かったです。
ちなみに、どれを買うつもりですか?
よかったら、一緒に見ませんか?」
トクコ:「いいですね!
…うーん、どれも美味しそうで迷っちゃいますね。
今日は色々あったし…
…もう全部、いこかな?ふふふ…」
マナミ:「トクコさん、太りますよ?」
トクコ:「うぐ………………」
次回について
続きは以下から!
参考文献について
なお、この「ラクとトクコの職場(ストーリー編)における「トクコの能力」は…
FBI、CIA、スコットランドヤード、アメリカ陸海軍、ナショナルガード、シークレットサービスなど、名だたる機関に対して行われた「エイミー・E・ハーマン」さんの「知覚の技法」を基に作っています。
つまり、実在する技法です。
(「イスパイアル」の名称は、私が勝手に物語を分かりやすくするためだけに作ったものですが…笑
そして、もちろん「5倍の速さで観測できる」というのも、本ストーリーオリジナルの設定です。)
まだまだ序の口なので、これからどんどん「実生活に活かせるような形」でご紹介できればと思います。
本書では、アートを教材として情報収集能力、思考力、判断力、伝達力、質問力などを鍛えるコツが記載されています。