(午後のオフィス。
自然にツトムの方へ目がいく)
ツトム:「ユカさん、
来週の件、確認しましたか?」
ユカ:「あ、まだ少し…」

ツトム:「あ、今日中でいいので。
確認できたら教えてください」
ユカ:「はい」
(トクコ:…また速い。
次。
次。
次。
止まらへんな…)

(少し経って…)
ケンジ:「ツトムさん、
さっきの集計なんですが、
少し数字が
おかしいところがあって…
確認していただけますか?」
ツトム:「どこ?」
ケンジ:「この行なんですが…」
ツトム:「…あ、ここか。
分かった、直しておく。
ありがとう」

ケンジ:「あ、でも、
もし原因が分かれば…」
ツトム:「大丈夫、自分で確認する。
ケンジくんは
次の作業進めといて」
ケンジ:「…は、はい」
(トクコ:…
あ。
ケンジ君、何か言いかけて、
止めた。
聞いてもらえなかった、
というより…
聞く間が無かったな…
ツトムさんは、悪気がない。
むしろ、引き取ってあげてる、
でも…)

(夕方。
席を立ったトクコが、
給湯室へ向かう途中…
給湯室の中から、
声が聞こえてくる)
ツトム:「…はい。
はい、はい。
分かりました。
確認します。
はい。
失礼します」
(ぶつっ、と電話が切れる音)
(トクコ:…あ、ツトムさん)
(ツトムが、
一人でカップを持ったまま、
動きを止めている。)

(トクコ:…あれ。
さっきまでと、
様子が全然ちがう)
ツトム:「あ、トクコさん。
お茶ですか?」
トクコ:「あ、は、はい。
ちょっと…」

ツトム:「どうぞ、使ってください。
自分はもう戻るんで」
(ツトム、さっさと給湯室を出ていく。)
(トクコ:…行ってしまった。
聞けなかったなぁ…
あ…いや…
今はまだ
聞くタイミングじゃない、かも。
(夜、トクコの部屋)

トクコ:「ただいまぁ」
はーちゃん:「おかえり~。
今日はどうだった?」
トクコ:「うーん。
なんか、
引っかかってることがあって」

はーちゃん:「引っかかること?」
トクコ:「職場に、
すごく速く動く人がいてな。
ツトムさんっていうんやけど」
はーちゃん:「ふーん…
でも、速く動くのは、
別に悪いことじゃないでしょ?」

トクコ:「そうやねん。
悪いことじゃない。
むしろ、頼りになる感じで。
でも…
なんか、
引っかかるねんなぁ」
はーちゃん:「何が引っかかるの?」
トクコ:「それが、
うまく言えへんねん…
今日ラクくんに、
引っかかったまま持っておいて、
って言われたけど」

はーちゃん:「引っかかったまま…?」
トクコ:「うん。
そしたら目が変わるって。
…なんか、分かるようで
分からんような」
はーちゃん:「…うーん…
なんだろね。
実際に今日、
何か見えた?」
トクコ:「…ちょっとだけ。
夕方に、
給湯室でな。
ツトムさん、
一人のときは、
随分普段と様子が違うなぁって。」

はーちゃん:「…様子が違う?」
トクコ:「うん。
すぐ元に戻ったけど。
でも、
あの顔は、
いつものツトムさんじゃなかった」
はーちゃん:「…それ、
大事なもの見た気がするね」
トクコ:「…そう、かな。
でもまだ全然、
分からんけど」
はーちゃん:
「分からなくていいんじゃない?
今日は」
トクコ:「…今日は、
引っかかったまま、
寝よか(笑)」
はーちゃん:「…気持ち悪い?(笑)」
トクコ:「んにゃ。大丈夫。ありがと」

(その頃。
オフィスにて)

バウ:「…トクコ、
今日はどうだった?」
ラク:「…いい引っかかり方を、
してたよ」
バウ:「引っかかり方が、いい?」

ラク:「何かを見つけようとして
引っかかるんじゃなくて、
見ていたら、
自然に引っかかった。
…その順番が大事だね」
バウ:「ふっ。
ずいぶん細かいな」
ラク:「細かくないよ。
前者は、
自分の答えを探してるだけ。
後者は、
相手を見てる」

バウ:「…細けぇじゃねぇか💦
…お前は、
ツトムのことを
どう見てる?」
ラク:「……
トクコさんが、
自分で気づいていく方がいい。
僕が先に言ってしまったら、
トクコさんの目が
僕の言葉を追いかけてしまう」
バウ:「…随分、
気をつけるようになったな」
ラク:「……昔は、
気をつけていなかったからね」
バウ:「……これ、飲んでいいか?」

ラク:「……
話、ちゃんと聞いてました?」
次回について
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第一話は、以下から!
~エピソード 0~ – ラクとトクコのいる職場 (managerbeginner.com)
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シーン別 – ラクとトクコのいる職場 (managerbeginner.com)
参考文献について
なお、この「ラクとトクコの職場(ストーリー編)における「トクコの能力」は…
FBI、CIA、スコットランドヤード、アメリカ陸海軍、ナショナルガード、シークレットサービスなど、名だたる機関に対して行われた「エイミー・E・ハーマン」さんの「知覚の技法」を基に作っています。
つまり、実在する技法です。
しかし、もちろん本ストーリーに合うため、少し大げさにしています(笑)
まだまだ序の口なので、これからどんどん「実生活に活かせるような形」でご紹介できればと思います。
本書では、アートを教材として情報収集能力、思考力、判断力、伝達力、質問力などを鍛えるコツが記載されています。

