~次の日、オフィスにて~

ラク:「…で、どうでした?倉庫での件」
トクコ:「ええ、やっぱりゴローさんは当初、“変えたくない”って思っていました」
ラク:「ふむ…」

トクコ:「でも、それには“理由”があったんです」
ラク:「理由?」
トクコ:「はい。どうやら、過去に大きな事故があったらしく…
それを踏まえて、現在の形にしていたのだそうです。」
ラク:「…そうだったんですね」

トクコ:「ゴローさんなりに、現場を守ろうとしていたんです。
それに対して私があーだこーだ言っているのを見たから…
ちょっと気分を害されたのかなと思います。」
ラク:「…なるほど。
トクコさんは、何か今回の件で感じられたことがありましたか?」
トクコ:「“観察”だけじゃダメなんだ、ってことです。
気づいたことを伝えるだけじゃなく、
相手の立場を理解してから伝えることが大事なんだと…」

ラク:「うん…いい経験をされましたね」
バウ:「おいおい!
トクコも成長してきたじゃねぇか!」
トクコ:「(照れたように笑う)いえ…そんな。
私一人ではダメでした。ユカさんのおかげですね」
~部署全体のミーティングにて~
トクコ:「皆さん、お時間をいただきましてありがとうございます。
今回は、倉庫でのゴローさんとの件を共有します。
今回、私が気づいたのは“相手の立場を理解しようとする姿勢の重要性”です」

マナミ:「どういうことですか?」
トクコ:「私は最初、現場の改善点を伝えることが大事だと思っていました。
でも実際には、ゴローさんにはゴローさんなりの理由がありました。
少し行き違いがあり、私が倉庫を観察して気づいたことをケンさんに話しているのを、ゴローさんに聞かれて…反発がありました。」
ツトム:「あれはもう、不運でしたね。
私もその場にいましたが、ゴローさんが多少乱暴だったかと。」

トクコ:「あの時は、ご同行ありがとうございます。
でもおかげで、学びを得ることができました。
そして、今回ユカさんにはたくさん助けていただきました」
ユカ:「いえ…私なんて、ただ一緒にいたくらいで…」
トクコ:「そんなことありません。
ユカさんが場を和らげてくれたからこそ、私も落ち着いて対話ができたんです。
そうでなければ、私はきっと焦って自分の意見を押し付けてしまっていたと思います」
ケンジ:「ユカさんって、やっぱり頼れるなぁ~!」

(マナミ: ユカさんが…調整役を?
普段控えめなのに、珍しいな…)
ユカ:「そう言ってもらえると…嬉しいような、恥ずかしいような」
トクコ:「それで…今回の経験から感じたのは、
“観察”して、気づいたことをすぐに伝えるのではなく、
まず“なぜそうなっているのか”を理解することが大事だということです」
ケンジ:「でも、具体的にはどうやって“理解する姿勢”を取ればいいんですか?」
ラク:「そこがポイントですね。
例えば、相手に“なぜそうしているのか”を直接聞く。
あるいは、“どうしてそれが必要なのか”を確認する。
そうすることで、無理に“正しいこと”を押し付けることがなくなる…」

バウ:「ワンワン(なるほどな…)」
(注:Episode 5および10にあるように、バウの話はラクとトクコしか分かりません)
マナミ:「確かに…ちょっと考えさせられますね…」
ケンジ:「相手の立場を理解してから提案するか…」
ツトム:「今後、現場に行くときはその視点を忘れないようにしないとな」

ラク:「…チームとして一歩前進ですね」
バウ:「ワンワンワン!(おう。トクコ、また成長しやがったな!)」
トクコ:「(照れながら)まぁ…少しずつ、ですね」

(ミーティングが終わり、チームメンバーが部屋を出て行く。
会議室に静けさが戻る
ユカが静かに会議室に残っているラクに歩み寄る)
ユカ:「…ちょっと、昔を思い出しました」
ラク:「…辛い記憶を辿らせてしまって、すみません」

ユカ:「いいえ。辛い、というより…気づいたんです。
今、このチームのために私ができることが、何となくわかった気がします」
ラク:「……」
ユカ:「トクコさんをリーダーにするって、こういうことだったんですね」
ラク:「さぁ…どうでしょう」
ユカ:「…これからが楽しみですね」
次回について
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第一話は、以下から!
~エピソード 0~ – ラクとトクコのいる職場 (managerbeginner.com)
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シーン別 – ラクとトクコのいる職場 (managerbeginner.com)
参考文献について
なお、この「ラクとトクコの職場(ストーリー編)における「トクコの能力」は…
FBI、CIA、スコットランドヤード、アメリカ陸海軍、ナショナルガード、シークレットサービスなど、名だたる機関に対して行われた「エイミー・E・ハーマン」さんの「知覚の技法」を基に作っています。
つまり、実在する技法です。
(「イスパイアル」の名称は、私が勝手に物語を分かりやすくするためだけに作ったものですが…笑
そして、もちろん「5倍の速さで観測できる」というのも、本ストーリーオリジナルの設定です。)
まだまだ序の口なので、これからどんどん「実生活に活かせるような形」でご紹介できればと思います。
本書では、アートを教材として情報収集能力、思考力、判断力、伝達力、質問力などを鍛えるコツが記載されています。