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40代・50代がもう少し楽に生きるために
ラクとトクコのいる職場~40代からのサバイバル~
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~エピソード23~砂時計

(夜、トクコの部屋)

トクコ:「ただいまぁ」

 

はーちゃん:「おかえり。

       今日はどうやった?」

トクコ:「…なんか、

     色々あった」

 

はーちゃん:「色々?」

 

トクコ:「ツトムさんがな、

     B社への見積もり、

     出し忘れてしもたんよ。

     で、マナミさんとケンジ君に

     カバーしてもらって」

 

はーちゃん:「ツトムさんが…

       珍しいね」

 

トクコ:「うん。

     で、夕方に

     カフェテリアで

     コーヒー飲んでたら、

     ツトムさんがね」

 

はーちゃん:「うん」

 

トクコ:「『自分がいなくても、

     回るんですね』って、

     自分から言ったんよ」

 

はーちゃん:「…それ、

       大きいね」

 

トクコ:「うん。

     

     そのあと、

     お昼に私が言ってたこと、

     ツトムさんが自分で

     持ち出してきてくれて」

 

はーちゃん:「持ち出してきた?」

 

トクコ:「うん。

     『頼られることで、

     ここにいていい理由を作ってる、

     って言ってたけど、

     自分、ほんとに

     そう思ってたんですかね』

     って」

 

はーちゃん:「…ツトムさんが、

       自分で聞いたんやね」

 

トクコ:「うん。

     そのとき、

     私も言えたんよ」

 

はーちゃん:「何を?」

 

トクコ:「…私が届けたかったのって、

     本当は、

     頑張らんでも、

     ここにいていいよって…

 

     ツトムさんに

     そう思ってほしかったんやな

     …って」

 

はーちゃん:「…うん」

  

トクコ:「…それはきっと、

     あの頃の、

     転職前の私が、

     見えすぎて辛かった私が、

     かけてほしかった

     言葉や、って…  

 

     私…それにも気づいた」

 

はーちゃん:「……」

 

トクコ:「…頑張らんでも、

     ここにいていいよ、って。

     たぶん、あのとき、

     誰かに言ってほしかった」

 

はーちゃん:「…そっか」

 

トクコ:「…はーちゃんが

     前に言ってたやん。

     『誰かに似てない?』って」

 

はーちゃん:「…うん」

 

トクコ:「あのとき、

     誰やろ、って思ってたけど。

     …昔の、

     私のこと?」

 

はーちゃん:「…うん」

 

トクコ:「ツトムさんのこと、

     見ようとしてた

     つもりやったのに。

 

     私が何より

     見えてへんかったのは、

     私自身やったんか」

はーちゃん:「…

       …でも、

       今日、見えた」

  

トクコ:「…うん。」

 

はーちゃん:「…トクコ、

       今でもその

       観察の力、

       無かった方がいいって

       思う?」

 

トクコ:「…うーん…

     さぁ…

 

     どうかな…」

 

(夜、オフィスの休憩室)

 

バウ:「…ラク。

    これ、まだあるぞ?」

 

ラク:「…おかしいですね

    私も昨日、

    ひとついただいたのですが

    …

    数が減っていない?」

 

バウ:「…食っていいか?」

 

ラク:「これ、新しい箱ですね。 

 

    昨日の箱には

    左隅に少し黒ずんだ後があった。

    今日の箱にはそれが無い

    昨日無くて今日あるなら

    まだ分かりますが…

 

     誰が、何のために…」

バウ:「もう食っちゃえ」

 

ラク:「……」

 

バウ:「もぐもぐ…

    …で、今日のトクコ、

    どうだった?」

 

ラク:「…失敗して、

    やめた。

    それが一番よかったです」

 

バウ:「失敗しないと、

    やめられなかったかもな」

 

ラク:「…そうですね。

    失敗は、

    必要だったかもしれません

 

    …もぐもぐ」

 

バウ:「…うまいな、これ

    で、ツトムは?」

 

ラク:「…扉が、

    少し開いたのでは

    ないのでしょうか。

 

    まだ、

    始まりですが」

 

バウ:「…トクコは?」

 

ラク:「…おそらくは、

    自分自身のことに、

    少し気づいたのでは

    無いでしょうか。

 

    観察とは、

    そういうものですから」

バウ:「ほう。

    何に気づいたんだ?」

 

ラク:「…それは、

    トクコさんのものです。

    僕が言うことじゃない」

 

バウ:「…ふっ。

 

    お前は、ケイに…

    扉を開けたことが、

    あったのか?」

 

ラク:「……」

 

バウ:「…ケイの手帳か」 

ラク:「トクコさんを見ていて

    僕も少し分かってきた。

   

    僕が見ていたのは、

    きっと

    ケイじゃなかった…」

 

 

 

 

 

ラク:「うわっ!」

 

 

バウ:「砂時計が!」

 

  

…

 

…

 

…

 

…

 

…

 

…「ねぇ

 

 

…アンタ…

 

…

  

 

 

…

  また数えてたの?」

 

…

 

 「今日の田村部長…

…

  会議中、三回腕を組んでいた。

…

 

…一回目は石田さんの発言のとき

 

…二回目は数字を出したとき

 

…三回目は…

 

 

「分かった、分かった(笑)

 …で、それが何を意味するの?」

 

 

「今期の予算、削られる。

 ほぼ、確実にな」

 

「ええっ!

 困るんだけど!

 根拠は!?

 腕組みだけ??」

 

「腕組みだけじゃない

 資料をめくるペースが遅かった。

 …

 あと、

 石田さんが話してるとき、

 足はずっと

 扉の方を向いて

 座っていた」

 

「…足??」

 

「ああ。」

 

「それ、関係あるの?」

 

「足は非常に重要な

 情報源だ。

 人は表情はごまかせても、

 足はごまかせない。

 

 足が、部屋から

 出たがってた」

 

 

「ふーん…

 ホント観察オタクよね、

 タクトは」

 

「オタクは褒め過ぎだ

 … ケイ」

 

「褒めてないんだけど💦」

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