(砂時計が輝きを失って、
1週間
トクコのキッチン)
トクコ:「おはよう、はーちゃん
今日も葉っぱがまぶしいねぇ」
はーちゃん:「ふふふ…
そ、そうかなぁ…(照)」
トクコ:「あのさ、
ちょっとした
違和感の話なんやけど…」

はーちゃん:「…違和感?」
トクコ:「なんか最近さぁ…
オフィスで、
見られてる感じがすることが
多い気がして…」

はーちゃん:「誰に?」
トクコ:「マナミさんと、
あと、多分ラクくん。
でも、ラクくんは
確証が持てないなぁ」
はーちゃん:「ふーん…
二人は、どう違うの?」

トクコ:「…マナミさんは、
多分仕事を一緒にすることが
増えてきたから。
そっちはまだ分かるんやけど、
ラクくんは、なんかこっそり
見られているような…?」
はーちゃん:「え…?
もしかして、
…変態?」
トクコ:「え…変態?
って…
あら?
はーちゃん、
なんか葉っぱに
虫っぽいのが…」

はーちゃん:「ぎやああ!
へ、
変態注意報
だぁああ!」
トクコ:「え?
変態注意報?
は、はーちゃん、
そんなんできたっけ?」

はーちゃん:「まさに
トクコに悪い虫が…
…って、
なななんでもいいから
早く取って!」
トクコ:「この期に及んで
何をうまいこと
言おうとしてんねん(笑)
はいはい…
うーん…
あ、大丈夫。
虫じゃないわ」

はーちゃん:「ふうーー…」
(午前、オフィス)

(トクコ:…あれ?)

(トクコ:…?)

トクコ:「……」

トクコ:「…あれは
隠れているつもりなのか…
それとも、
気づいてほしいのか…」

バウ:「(ひそひそ声で)
すまん、トクコ」
トクコ:「あ、バウさん
また姿を消してるん?」

バウ:「あぁ。
今のワシは、
お前さんとラクにしか
見えんようにしている。
あのお子様は
ワシが相手をするから、
お前さんは
遠慮なく仕事してくれ」
トクコ:「あぁ。そう?
ありがと。」

トクコ:「あ、
ついでなんやけど…」
バウ:「あん?」
トクコ:「この一週間くらい、
結構ラクくんからの
視線を感じることがあって…
なんか話したい事でも
あるんかなぁ」
バウ:「分かった。
それも伝えておく」
トクコ:「ありがと」

(トクコ:ラクくんが、
私のことを見てる。
でも…
以前と違う。
いつもは一緒に考えてる、
みたいな目やけど。
ここ最近は…
何かを確かめようとしてる
そんな目に見える。
…何を、確かめてるんやろ)

マナミ:「トクコさん、
少しよろしいですか」
トクコ:「あ、はい」
マナミ:「先週の発注の件なんですが、
この数字の根拠を
確認させてもらえますか?」

(トクコ:ちゃんと聞こ…)
マナミ:「…メモ、
取らなくていいんですか?」

トクコ:「あ、聞くことに
集中しようと思って」
マナミ:「…そうですか」
(トクコ:…今、
マナミさん
何かを確かめてた?
…ラクくんの目とは、
違う種類の目やなぁ)
(昼休み、休憩スペース)
ケンジ:「今日のこれ、
めちゃくちゃ
おいしいんですよ!
新しく見つけたお店の
唐揚げ弁当!
衣がちょっと厚めで、
中がジューシーで!」

トクコ:「そんなに違うもんなん?」
ケンジ:「全然違いますよ!
唐揚げって奥が深くて…
あ、トクコさん、
一個どうぞ!」
トクコ:「あ、じゃあ
いただきます」

ケンジ:「どうですか!?」
トクコ:「…あ、ほんまや。
衣がちゃんとしてる」
ケンジ:「でしょ!?
あ、マナミさんにも
食べてもらいたかったんですよね。
でも断られて(笑)」

(トクコ:…あれ。
なんか、
楽やな
ケンジ君と話してると。
マナミさんといるとき、
ラクくんといるとき、
どこかずっと、
見られてる感じがしてた。
でも今は…
誰も私を見てない。
ケンジ君は
唐揚げのことしか
考えてない(笑)

…でも、
なんか、
ほっとする)

(トクコ:見られてない、って、
こんなに楽なんか。
ラクくんもマナミさんも、
いつも誰かに
見られてるんやろか。
あるいは…
「見られてきた」のか…)
(夕方、帰り際。
廊下でラクとすれ違う)
トクコ:「あ、
もしもし
ラクくん?」
ラク:「はい?」

トクコ:「なんか…
最近、
観察してるやろ
…
私のこと」
ラク:「…
なんのことですか」
トクコ:「嘘がヘタやなぁ」
ラク:「…そんな
僕が…
トクコさんを…」

ラク:「…観察なんて」

トクコ:「だから…」

トクコ:「…そういうところ」

ラク&トクコ:「……!!」

バウ:「バカモン!
…あ、
サングラス落ちた…
拾わんかい!」

バウ:「目的を忘れるな!
嬢ちゃんが
過去のケイに会う
鍵になるんだろうが!
…
お前が観察を繰り返して
逆に嬢ちゃんを
不安にさせて
どうする!」

ラク:「えっと…
…本人がいる前で…
それは…」

トクコ:「私が…
過去の…?」


