(その時、トクコの家)
(はーちゃん:ツクモガミ…
トクコから聞いている限り、
「犬の形」だった。
でもそれが、もし
自分と同じように、
実際には『別のもの』に
宿るものだとしたら…)

(はーちゃん:そしておそらく、
その神がラクと言う子供と
共に居るのは、
自分と同じ理由のはず…
どういう能力なのか
知っておいた方が
いいのかも…)

(オフィスの屋上)
トクコ:「前に見たときは、
ここまで
光ってなかったね…」

バウ:「嬢ちゃん!」
ラク:「トクコさん!」

ラク:「え…?
ま、前に見たこと、
あるんですか??」

トクコ:「うん。
バウさんに初めて会った時、
見せてくれた。
でも、
どういう反応とか、
何が起きるのかとか、
その辺りは全然…
…不思議ね…」

ラク:「バウさん、
そこはちゃんと
僕にも言っておいて
くださいよ…」
バウ:「まぁ、細かいことは
気にするな」
ラク:「…」

(ラク:……)
(バウ:……)
ラク:「…あの、トクコさん、
すみませんでした…」

トクコ:「うん?」
ラク:「最近、トクコさんのことを
観察していました。
本当に、失礼しました」

トクコ:「……うん」
ラク:「理由があって。
でも、自分自身の問題で。
トクコさんには
関係ないことです」
トクコ:「…
…
砂時計が、
私に反応するって、
バウさんが言ってたやん」

ラク:「…はい」
トクコ:「それと関係ある?」
ラク:「…たぶん」
トクコ:「光ると、
何があるの?」

ラク:「……」

バウ:「……」

トクコ:「…言えないんやね」
ラク:「……すみません。
言えないというより、
まだ僕も
うまく言葉に出来ない。
キチンとお話しできるように
なるまでは、
もう少しお待ちいただきたい
…です」

トクコ:「いや、ええよ。
言いにくいことも、
あるんやろうしな。
…
まぁ、
引っかかったまま、
持っておく(笑)」

ラク:「すみま…
…!??」

(ラク:なんだ??
い…一瞬、
強く光ったような…?)
バウ:「なんだ?
どうかしたのか?」
ラク:「今、一瞬…
強く輝きませんでした?」
トクコ:「いや…?
別に…」

(ラク:気のせいか…?)

ラク:「あ…」
トクコ:「光が…
消えた…
…まだ私、
ここにいるのに?」

バウ:「近づいてきたことを示す
共鳴みたいなもの
だったのかもな」
トクコ:「共鳴…?」

バウ:「分からん…
なんとなく、な」

ラク:「……」

トクコ:「…まぁ、
じゃあ
もう砂時計のことは
聞かないことにして…
…ちょっと別件で
相談してもいい?」
ラク:「…え、ええ。
どうぞ」
トクコ:「マナミさんのこと」
バウ:「あのメガネの…
おかっぱ娘か」

トクコ:「そう。
そのマナミさんとちょっと…
意見が分かれてな。
来週木曜、
一緒に倉庫視察に行く前に
データを全部見てから
仮説を立てるか、
それともまず
現場を見てから考えるか、
って話で…」

ラク:「…トクコさんの見解は?」
トクコ:「…両方、正しい気がする。
でも、
どちらかを選ぶなら、
私はまず現場を見たい」
ラク:「なぜですか?」
トクコ:「データを先に見ると、
そこに引っ張られる気がして。
先入観が生まれる、というか」

ラク:「…一種の
確証バイアスですね」
トクコ:「確証バイアス?」
ラク:「自分の仮説に合う情報ばかりを
集めてしまう傾向のことです。」

ラク:「データで仮説を立てると、
現場でもその仮説を
確認しようとしてしまう。
すると、
仮説の外にある情報が
見えにくくなる…」
トクコ:「そう、
そういうこと!」
ラク:「ただ…」
トクコ:「ただ?」
ラク:「マナミさんの言い分にも
一理あります。
何も知らずに現場に行くと、
何を見ればいいか
分からなくなる。
知識は、観察の精度を
上げることもある」

トクコ:「…うーん…
難しいな。
どうしたらいい…?」
ラク:「順番の問題かもしれません。
まず現場を見る。
それからデータで確認する。
最後にもう一度現場を見る。
…その順番が、
一番バイアスを排除できる」

トクコ:「なるほど…
それはいいと思うけど…
マナミさんに
どう伝えよっかなぁ…」
ラク:「…マナミさんについて、
トクコさんはこれまで、
どのように見ていますか?」

ラク:「何が見えましたか?」
トクコ:「えっと…
マナミさんにとっては、
完璧な準備をすることが
『きちんとやる』ことで。
それ以外のやり方は
認めにくいんやと思う。
私のやり方を
『直感で動くタイプ』って
そういう言い方したから。
まぁ
別にどっちが正しくて、
どっちが悪いとか、
そういう話じゃ
ないはずなんやけどなぁ…」

ラク:「……」

バウ:「なかなか成長したな、
嬢ちゃん」
トクコ:「まぁ、
『過去のケニア』より
マシなコメントやろ?」
ラク:「それは間違いないですね」
バウ:「あれはあれで、
味があっただろ?」
トクコ:「君らはお笑いの
殻を破らなアカン。
カニだけに」
バウ:「敵わんな💦」

