(翌日、午前。
オフィス)
マナミ:「トクコさん、
少しよろしいですか」
トクコ:「はい、どうぞ」
マナミ:「昨日の観察内容を、
データと照らし合わせました。
改善提案書です」

トクコ:「…これを…
一晩で?」
マナミ:「やる価値のある仕事なら、
きちんとやる価値があります」

(トクコ:…すごい。

照明の交換優先順位、
通路の棚の移動計画、
滑り止めの補修箇所、
動線の変更案。
全部、
数字と根拠がついている。
昨日私が言ったことが、
全部ここに入ってる。
それだけじゃなく、
私が言えなかったことも、
入ってる。
優先順位。
コスト。
実施の順番。
…私だけじゃ、
ここまで作れなかった!
この人、
優秀!)

トクコ:「マナミさん、
これ、すごいですよ!
昨日見た内容に、
全部根拠がついてる」
マナミ:「トクコさんの
観察があったから、
作れたものです。
…一緒に、
倉庫部に
持っていきませんか?」
トクコ:「そうやね!」
(午後、倉庫部)
ヨシダ:「これは…すごい」

ヨシダ:「これだけ具体的な提案は、
初めていただきました。
照明の件も、
ずっと
分からなかったんですが…
こういうことだったんですね」
マナミ:「はい。
トクコさんが現場で
気づかれたことを、
データと照らし合わせました。
優先度の高いものから
順番に記載しています」

ヨシダ:「滑り止めのこと、
正直、
気づいていませんでした。
言われてみれば、
あそこは確かに…」
トクコ:「水の近くなので、
一番先に直した方が
いいと思います」
ヨシダ:「…ありがとうございます。
すぐに動きます。
しかし素晴らしい…」


(トクコ:
マナミさんのデータがあって、
初めてヨシダさんに届いた。
私が昨日言ったことは、
ただの感想だった。
マナミさんが、
それを提案書にした)
(倉庫部からの帰り道)
マナミ:「…トクコさんの
観察がなければ、
私のデータは
ただの数字でした」
トクコ:「何を言うんですか。
マナミさんの
データがなければ、
私の観察は
ただの感想でしたよ」

マナミ:「…組み合わせると、
強いですね」

トクコ:「ね、
最強の組み合わせじゃない?」

??:「トクコさん!
た…大変です!」
トクコ:「え?
あ、ケンジ君?」
ケンジ:「つ…
ついに…」

トクコ:「ついに?」
ケンジ:「あのコンビニで
唐揚げ・チキン南蛮弁当が
出るらしいですよ!
まさに
最強の組み合わせ!」」

トクコ:「……」
マナミ:「……」

ケンジ:「あ、
なんか変な
タイミングでした?」
トクコ:「いや~…
変なのか、
逆にちょうどいいのか、
判定が難しい(笑)
マナミさんに譲るわ」
マナミ:「…私たちは、
唐揚げと
チキン南蛮なんですね…」

ケンジ:「え、何ですかその
微妙な回答…
ぜひマナミさんも
今度一緒に食べましょう!」
マナミ:「……
食べる価値のある弁当なら、
きちんと食べる価値があります」

ケンジ:「お、
なんか
すごくポジティブな返事!?」
トクコ:「あはは(笑)」

ラク:「いいコンビだ、
ねぇ、バウさん…」

ラク:「…?」

ラク:「バウさん…?」


はーちゃん:「…そろそろ
お会いする頃だと
思ってました」

??:「ほう。
なぜだ?」
はーちゃん:「同じ者同士、
一度話すべきだと
思っていたので」
??:「…賢いな」
はーちゃん:「植物だから、
考える時間だけは
たっぷりありましてね」

バウ:「…それは
話が早くて
助かるぜ」

バウ:「聞きたいことが
あって来た」
はーちゃん:「自分もです。
…お先にどうぞ」
バウ:「お前さんは、
何に宿っている?」
はーちゃん:「…最初の質問が
それですか(笑)
…それは、
まだ秘密です」

バウ:「…ふっ…そうか。
で、お前さんは、
いつから
トクコのそばにいる?」

はーちゃん:「そばにいるという
意味では、
あの子が
生まれたときから。
見えすぎて辛い夜も、
誰にも言えない昼も、
ずっと、隣にいました」
バウ:「…そうか
…そんなに長く…」
はーちゃん:「自分からも少し」
バウ:「ああ」
はーちゃん:「あなたが
ラクさんと共に居るのは
自分がトクコと居る理由と
同じですか?」

バウ:「…
お前さんの理由を
完全に理解した
わけじゃねぇが…
…おそらくな」
はーちゃん:「…そうですか。
自分はトクコから
あなたが『砂時計』に宿る、
付喪神だと聞いています。
それが異様な光を
放つものであることも。
さらに『ラク』さんが、
もともとは大人だったことも」

バウ:「……」

はーちゃん:「察するに、それは
『タキサイキアの砂時計』
…でしょうか?」

バウ:「…そうだ。
博識だな。」
はーちゃん:「まさか、
本当に存在したとは。
では、トクコが…」
バウ:「…ああ。
おそらくは、彼女が
トリガーなんだろう」
はーちゃん:「トリガー…?
砂時計の発動に
関係が…?
…もう少し仕組みを、
教えていただけますか?」

バウ:「…ああ。
そうだな。
お前さんには
話しても良さそうだ。
…というか、
話した方がいいだろう。」

バウ:「ワシの知る限りを
話そう」

