トクコ:「あの…ラクさん、でしょうか…?」
ラク:「はい、そうですが…」
トクコ:「は…初めまして、ラクさん。
私、トクコと申します。
今日から、あなたの部下に配属されました。
よろしくお願いします!」
ラク:「あ、初めまして…
あなたのこと、人事から聞いてます。
まぁ適当に座ってください。」
トクコ:「………………」
ラク:「………………」
トクコ:「……え……と……、あの…」
(トクコ:ほ、ほんまに…
これで40歳…??)
ラク:「まぁ…
おいおい、この姿の成り行きについては
お話ししますよ…色々ありましてね」
トクコ:「あ…そ、そうなんですね。
それにしても、どうしてあたしがここに…?
ここはマーケティング部門ですよね?
あたしはこれまで、動物の食べるものを調査する研究員やったのに…
しかもいきなりリーダー職ですよね?
ちょっと緊張しています…」
ラク:「研究職…
動物とのコミュニケーションの研究…ですよね?
興味深いです…」
トクコ:「はい!
あたし、昔から動物とか植物とかと、話が…
あ、いえいえ!なんでもないです!」
ラク:「…?はぁ…」
(トクコ: やばい!
怪しまれてんな…
こうなったら…
無理にでも話題を変えんと!)
トクコ:「あの、えーっと、えーっと…
も…もしかしてラクさんって、
名探偵だったりするんですか?」
ラク:「………」
トクコ:「あるいはその…
黒い組織に狙われているとか…」
ラク:「…いえ、別に…」
トクコ:「そ、そうですか…」
(トクコ: あぁー!
違うんや!!
なんやろう、この…
ちょっと残念な気持ちは!)
ラク:「……………」
ラク:「まぁ…
あなたがここに配属されたのは、
『ある方』のお願いあってのことです。
それもおいおいお話ししますよ」
トクコ:「あ、そ、そうなんですね。
ありがとうございます。
あ、そういえば、
マーケティングご専門なんですよね?」
ラク:「まぁ、マーケティングというか…
たまたま僕は…」
トクコ:「…僕は…?」
ラク:「いや、まぁ、
僕はもうどちらかというとマネジメントの方ですね。
…なので相手は動物じゃなくて、人間ですね」
トクコ:「あ、そうなんですね!ぜひ色々教えていただきたいです!
これから私がリーダーになるなんて…
私に務まるのかなと思いますが…」
ラク:「大丈夫ですよ…
まぁ、これからよろしくお願いします。」
トクコ:「どうぞよろしくお願いします。」
(トクコがラクのオフィスを後にしたところ
近くにある植物たちに話しかけられた。)
植物A:「トクコトクコ、どうだった?ラクさんとの挨拶。」
トクコ:「うーん、
なんだか…ラクさんは物静かで…
ちょっと気難しい印象やったなぁ」
植物B:「そうなんだ。でも、ラクさんは
口数は少ないみたいだけど、
部下をしっかりサポートしてくれるらしいよ」
トクコ:「そうなんや…
でも、なんだか私と合わなさそうな気がして…
ちょっと心配やなぁ」
植物A:「大丈夫、初対面だし…
お互いに慣れていくと思うよ。
きっとトクコならラクさんと上手くやっていけるよ!」
トクコ:「ありがとう、励ましてくれて。
まぁとにかく、頑張ってみるわー」
ラク:「……これで、良かったんですか?」
??:「…あぁ。」