Scene 7 ~職場の人間関係で大切なもの~

ーー外出の仕事から戻るトクコーー

 

トクコ:「ラクさん、ただいま戻りました」

ラク:「あ、はい、おかえりなさい…」

 

トクコ:「…あれ…?なんかいる…犬?

 

ラク:「あぁ…あれは…バ…」

 

犬:「おぅ兄弟!…皆まで言うなって…」

 

トクコ:「………」

 

犬:「………」

(トクコ:「皆まで言うな?」

いや…あたし動物としゃべれるんやけど…

 

あ、あかんあかん。

あたしが動物としゃべれるってバレない方が…

しかし、なぜサングラスを…)

 

ラク:「え、バウさん、皆まで言うなって…

どうやってトクコさんと話すつもりです?

あなたと話せるの、僕だけなんですよ?」

 

トクコ:「……! ラ…ラクさん!

ラクさんも動物と話せるんですか???」

 

ラク:「あ、いえ、このバウさんだけは特別で…

なぜかお互い会話ができて…

 

あれ?ラクさんも…

 

…トクコさん、動物と話せるんですか!?」

 

トクコ:「……! 

おぉう、言っちまったぜ」

 

犬:「ワシは気づいてたぜ。

そのおなごが動物と話せることをな…」

 

トクコ:「……え…?」

 

犬:「このおなごの観察力の高さは…兄弟から聞いていた。

それに、ワシの仲間たちも『動物と話せるおなごがいる』と、

言っておったからのぅ…

もしかしたら、とは思ってたんじゃ」

トクコ:「……は、はぁ…」

 

サングラスの犬:「ワシの名は、バウじゃ。見知りおけ…」

 

トクコ:「……は、はぁ…

初めまして、バウさん。

あ、あの、あたしはトクコです。」

 

ラク:「…すごいですね、トクコさん。

ホントにバウさんと会話が出来てる…」

(トクコ:き…聞きたいことがありすぎて、

何から聞いたらいいか、わからへん…!)

 

バウ:「時に、嬢ちゃん…」

トクコ:「……は、はぁ…」

 

バウ:「おめぇさん、職場の人間関係で一番大切なものって、何だか分かるか…」

 

トクコ:「……え…、ひ、必要なもの?

きょ…距離感…でしょうか?

 

 

バウ:「ふっ…お前さんもまだまだ若いな…

いいか、よっと!」

(バウは机の上にジャンプで飛び乗った!)

 

 

バウ:「ワシはなぁ…こう見えても若いころ、

ここらへんの走り屋をまとめてたリーダーだったんじゃ…」

 

トクコ:「は…走り屋…?」

 

バウ:「そうじゃ…まぁ巷では、

ドッグラン』とか言うらしいけどな…」

 

(トクコ:ホンマにただ自由に走るやつやん…)

 

バウ:「いいか。あんな空間でもな、

それなりにやっぱり縄張りはあるんじゃ。

不毛な争いを好まんワシは、皆を集めて『組』を作ることにしたんじゃ…」

 

 

トクコ:「組…ですか!??え、ヤクザみたいなものでしょうか?」

 

バウ:「まぁ…人間の世界ではそんな感じかもしれん。

しかしな、ワシらは暴力は使わん。

任侠とは、本来弱きものを守るためにある。

最近では誤解されてるがな…

 

人間がこれだけたくさん居る『会社』も、それに近いとワシは思う。

犬の世界でもチームがあって…

皆が皆、仲間のために生きることを決めたんじゃ。

トクコ:「な…なるほど…

でも、そういうのって…意見が対立したり…

人間…じゃない。「犬関係」を維持するのって難しくないですか?」

 

バウ:「当然だ。

しかしそもそも、生きることは一人では無理なんじゃ。

だからこそ任侠の世界では、信頼こそが大切。」

 

トクコ:「信頼…」

 

バウ:「そして信頼はどうやってできるのか。

 

それは、焦らず、話し合いを続けること

小さな1歩を重ねることじゃ。

これは堅気の世界も変わらんだろ。

今までも、これからもな…」

 

ラク:「………」

(ラク:この話、100回は聞いたな…)

 

バウ:「ただ…

信頼や、固い絆みたいなものは、現代では築きにくい。

なぜだか分かるか…」

 

トクコ:「固い絆が築きにくい…

言われてみれば、確かにそうかも…

な、なんやろ… 考えてみたこと、無かったな…

 

バウ:「まぁそんなこと、ひとつの答えがあるわけじゃねぇんだが。

挙げるとすればおそらく、即欲(そくよく)だ。」

 

トクコ:「即欲…?そんな言葉、ありましたっけ?」

バウ:「無い。ワシが作った。

最近はどうも、即座に欲を満たそうとする傾向が強いように思う。

我慢が足りんと、言い換えてもいいが…

すぐにダメ、すぐに欲しい、すぐに行動…

ガマンが足りんのかもな…」

 

トクコ:「…ガマンか……」

 

ラク:「あの、バウさん。お話のところ悪いんですが…

今日のおやつ切れちゃってたんで、明日まで待ってもらっていいですか…?

買いに行くの、面倒なんで…」

バウ:「…」

 

 

バウ:「…そりゃおめぇ…

あれだ…

 

即、欲しいやつだ…

 

 

トクコ:「………」

 

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