~~マジカル・ゲートから戻ってくるトクコ~~

(前回のマジカル・ゲートの内容を

読んでいらっしゃらない場合は、こちらから!)

 

トクコ:「ただいま戻りました!」

 

ラク:「あ、おかえりなさい…」

バウ:「おぅ、おかえり」

 

トクコ:「いやぁ…

今回も…濃かったなぁ」

 

ラク:「…何かお役に立てそうなこと、ありました?」

 

トクコ:「ちょ…ちょっと待ってくださいね。

何か飲みたい…」

 

ラク:「紅茶、入れましょう」

 

トクコ:「ありがとうございます!」

 

バウ:「兄弟よ、ワシもなんか飲みたい…」

 

ラク:「はいはい、ちょっと待ってくださいね」

トクコ:「ぷはぁ。すみません。

えーと、今回の内容は…

すごくカンタンに言ってしまうと、苦手な相手と話す場合ですね。」

 

ラク:[…そうですね」

 

トクコ:「あたしの部下のマナコは、その状況に陥ってるんですね…」

 

ラク:「そうですね…」

 

トクコ:「ただ、ちょっと思ったんですけど、

『イヤに思う相手』に対して、

勝手なストーリーを作ってしまうこと』って

避けられるんかなぁ…って」

 

バウ:「ふん、なんだ、そんなことか」

トクコ:「え?」

 

バウ:「カンタンなことだ…

客観的に物事を見ることだ…

そしてそれは、ワシの得意技だ…」

 

ラク:「バウさん…

客観的に物事が見れるんですか?」

 

トクコ:「ど、どうやるんですか??」

 

バウ:「ふん…

ワシはこれでも

数多の走り屋を束ねてきたリーダーだ。

この眼で、組の危機を何度も救ってきた。

任侠の世界だからこそ、客観性は大事なことだぜ…」

 

(トクコ:走り屋ねぇ…

…あかんあかん。

多分、こうやない。

もうちょっとカッコええはず…)

 

バウ:「いいか、見ておけよ。

こうするのさ…

 

(サングラスを外す、バウ)

 

バウ:「心の目で見るんだ…」

 

 

ラク・トクコ:「…………」

 

バウ:「うっ…まぶしい…」

 

ラク・トクコ:「…………」

 

ラク:「…なるほど。

 

逆にサングラスで、

普段あまり現実を見ないようにしておく

…ということですね。」

 

トクコ「いや、違うでしょ…多分

 

ラク:「僕は人が何かを客観的に見るのは、

とても難しい…というか、無理なのではとすら思ってます」

 

トクコ:「えぇ!??」

 

ラク:「説明するより、実例出した方が早そうですね。

これをちょっと読んでみてください。」

トクコ:「A、B、C…ですよね?」

 

ラク:「そうですね。

こちらを見ると、アルファベットが3つ、並んでいるように見えますね。

ではこちらはいかがでしょうか?」

トクコ:「12,13、14…ですね」

 

ラク:「そうですね。

後の例では、数字が3つ並んでいるように見えますね。

今の2つの例を並べると、こうなります。」

トクコ「あら…?

Bと、13が…同じ…?」

ラク:「はい、実は全く一緒です。

ただ、解釈が違うんです。

 

客観的に物事を見ようと思っていても、

見たいように見てしまうという人間の直感は、

抗いがたいものがあります」

 

トクコ:「な…なるほど…

 

じゃあマナコが他部署の人のことを悪く見たのも、

目の前にある『事実』に対して、

自分の事情とか背景を基に、

自分が思うように解釈しちゃってた…と…」

 

ラク:「そうですね…」

 

トクコ:「うーん…そうか…

自分の目で見たこととか、自分が体験したことは信じるけど、

そうじゃないことって、見えなかったり…

信じられなかったりするっていうか…」

 

ラク:「こちらの本のp54からの抜粋になりますが…

世の中のさまざまな物事に対する経験や学習の内容は、

人によって少しずつ異なっていますから、

特定の事物に対するスキーマも、

それぞれ少しずつ異なっていることになります。

…だそうです」

 

トクコ:「そうなんですね…

じゃあ、『勝手なストーリー』からは逃れられず、

客観的にはやっぱりなれない…と…?」

ラク:「特に対人関係はそうじゃないかなと…

でも努力は必要だと思います。

それなりにエネルギーが要るので、しんどいですけどね」

 

トクコ:「エネルギー??」

 

ラク:「だって大変じゃないですか。

自分以外の観点から物事を見ようとするのって。

だから、せめて大事な場面では、ちゃんと相手の目線から考えるようにするとか

それでいいと思います。」

トクコ:「なるほど……

勝手なストーリーって、難しいなぁ…

 

バウ:「おいコラ、兄弟ぃぃぃ!!!」

 

ラク:「はい?」

 

バウ:「ワシの…

ワシのクッキーが無いぞ!!」

 

ラク:「知りませんよ。食べたんでしょ?」

 

バウ:「人を……

いや、犬をボケ扱いしおって…

はっ!分かった!

ワシがカッコよくて男気があって任侠精神溢れてるけど、

『最近ちょっと太ってきたから、バウさんの健康のために…』

と、思ってくれて、クッキー隠したってことか…!

(ラク&トクコ:

あ、これ…

 

勝手なストーリー…

 
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