マナミ:「タクトさんは…
もうお戻りにならないのでしょうか?

(トクコ:タクトさん…
さっき、ケンジくんと廊下で話してた中に出てきた人か…)
人事:「…それは…」

ラク:「…タクトさんから話は聞いています」

マナミ:「え?」
ラク:「…というか、
タクトさんから、ビデオレターを預かっています。」
ユカ:「…え…
ビデオレター?
あ、あのタクトさんが?」

ケンジ:「へぇ!
お会いしたこと無かったから、楽しみだなー」
ツトム:「…しかし…
あの人、そんな性格だっけな…
ビデオレターって…」
マナミ:「そうよね。
…毎日、忙しい人だったし」

ラク:「…まぁ…見てください」

(スクリーンから音が鳴る…)
ガガ…
ガガ…ガ‥

画面の声:「あー、
あー、
うーん…
やっぱり、
サングラスが無いとやりづれぇな…
あ!!
もうカメラ回ってるのか!?
…ゥオッホン!」
(ユカ:あら…?
タクトさんって…
こんなオッサンくさかったかしら…)

(トクコ:んん~~~??
なんか、どっかで聞いたことのある口調…
しかもサングラスって……)

画面のタクト: 「あ…
あーあー…
えー、皆、お疲れさん。
タクトだ。」

ケンジ:「この人が、タクトさん!」
画面のタクト:「突然のことで、
その…
戸惑っているんじゃねぇ…
…いると思います。」
(マナミ:は???
どっち?)

画面のタクト:「あー、あと、
何より、
ワシ…僕の体調のこともあり、
しばらく現場を離れていて、すまん。
皆さんにはその…
苦労かけてて、
心苦しく…
いやまぁ、苦しゅうない」
(ツトム:ど…どっちだ??)

画面のタクト:「まぁ…
そういうわけでな。
お願いがあるんだよ。
トクコっていう嬢ちゃんをな、
新しいリーダーとして推薦したい。」
(ユカ:…これは…)

画面のタクト:「ワシ、あ、いや、
僕も最初は大丈夫かなと思ったんだですが…
あの嬢ちゃんの観察力なら、問題ねぇでがす。
それに、ラクと一緒なら、大丈夫だろうです」
(ケンジ:な……なんか…
外国人力士みたいな人だな…)

画面のタクト:「んじゃ、よろしくな!
皆で協力すりゃ、なんとかなるってもんですよ。
ハッハッハッ!」

(ブチッ)
(画面が消える)
全員:(…………)
ケンジ:「こ、これがタクトさん…なんですね」
マナミ:「そ…それはそうなんだけど…」

ツトム:「…なんか感じが変わったっていうか…」

ラク:「…皆さんもお気づきのとおり…
どうやらタクトさんはひどくお疲れのようです。
最近では、任侠ものや、相撲を見ることが、
精神の安定に繋がっているとか…」

全員:(…あぁ、どうりで…)
(トクコ:な…なんやろう。
この妙な罪悪感は…)

ユカ:「…ま、まぁ、
思ったよりお元気そうで、良かったのでは?」
マナミ:「…でも…
そんな精神状態で、他の人をリーダーに選ぶって…」
ラク:「…それから…
もう少し彼が落ち着いていたときの、
伝言も預かっています」

ケンジ:「伝言?」
ラク:「報告
僕がいない間、
皆さん本当によくチームを支えてくれました。
特にマナミさん、細かな業務調整をありがとう。
ツトムさん、グイグイチームを引っ張ってくれて、助かりました。
ケンジくん、新人なのに皆をよくフォローしてくれました。
ユカさん、いつもチーム全体のバランスを気にかけてくれて、感謝しています。
…以上
…
…だ、そうです」
(全員:…!!!)

マナミ:「…こ、この無機質で、
言葉ばっかり軽く並べて
それっぽく言ってる感じは…」
ユカ:「…そして会話にも関わらず、
『報告』とか、『以上』とか、
レポートのように話す感じは…」
ツトム:「…あぁ、間違いないな…本人だ」
(ラク:…
…気をつけよ……)

人事:「…さて…
少し長くなってしまいましたね。
タクトさんのご判断ということは、
お分かりいただけたかと思います。

新体制に慣れるまで、少し時間も必要でしょうけれど、
皆さんもできる限り、協力してください。
では、いったんこれで終わりにしましょう。
皆さん、業務に戻ってください。お疲れ様でした。」
ユカ:「…えぇ、そうですね。
ラクさん、トクコさん、これからよろしくお願いします」
ケンジ:「楽しみにしてます!」

トクコ:「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
マナミ:「一度業務に戻りますので、
私たちの自己紹介などは、後ほど」
ツトム:「我々の業務のお話もしますので、
またお声がけください」

トクコ:「はい、どうもありがとうございます」
(全員、退出後…)
トクコ: 「…ねぇ、ラクくん。」
ラク:「はい?」
トクコ: 「あのビデオの人…もしかして…」

