~~新しい転職先での2日目を終え、帰宅するトクコ~~
トクコ:「はーちゃんよぉい…
ただいま…」
はーちゃん:「おぉ…おかえり…
なんかすごい脱力感だね」
トクコ:「…私は、今日、疲れました…
ワタシハ、キョウ、ツカレマシタ…
まったく… なんて日だ!」
はーちゃん:「…古くない?」
トクコ:「ええねん!別に!
関西ではまだ大丈夫や!
知らんけど」
はーちゃん:「…そうかなぁ…」
トクコ:「ホンマ何から話したらええんか…
えっと、朝にオフィス向かう途中で話す犬に会って、それから…」
はーちゃん:「…話す犬って…
トクコは動物と会話できるんだから、それくらい普通でしょ?」
トクコ:「あーーー…
そうやねんけど、サングラスかけとってん」
はーちゃん:「…え?」
トクコ:「なんか…
ドッグフードっていう犬の暴走族?の、
組長さんらしいわ」
はーちゃん:「…は?」
トクコ:「んで、私のこと見て、
『見るべきものを見てない』とか何とか…」
はーちゃん:「…うーん…
なんだろ…それは…
気になるね」
トクコ:「今思い出したら、なんか腹立ってきたわ。
でもまぁ、ええ犬やってんけどな、たぶん」
はーちゃん:「…ふーん…」
トクコ:「んで、会社行ったら…
上司に『観察力見せてほしい』言われたから、
イスパイアル使って同僚の会話の様子を説明してん」
はーちゃん:「…えぇ!??
イ…イスパイアル、見せたの??」
トクコ:「うん、やってもーた…」
はーちゃん:「…引いてたんじゃない?」
トクコ:「口あんぐり開けて…
黙って何か考えてはったなぁ…」
はーちゃん:「…あーあ…」
トクコ:「そっからよ、問題は。」
はーちゃん:「…え?」
トクコ:「前の会社の上司から、突然メール来てん。
ちょお待って。読んだげるわ…」
はーちゃん:「…これは…ひどい内容だね…」
トクコ:「せやろ??もうなんか感情昂ってしまって…
思わずオフィスで泣いてもーたわ」
はーちゃん:「…そうか…今は、落ち着いた?」
トクコ:「うん。大丈夫。」
はーちゃん:「それは良かった。もう忘れなよ、そいつのこと」
トクコ:「そうやな。そうそう、
それで、なんか結果的に今の上司が笑わせてくれたわ」
はーちゃん:「え?なんでなんで?
面白い人だったの?」
トクコ:「ちゃうちゃう。
なんか励まそうとしてくれはってんけど…
その言葉がなんか、ポエマー?みたいな」
はーちゃん:「えーー!聞きたい聞きたい!なんて言われたの?」
トクコ:「それがさぁ。あまりに難解過ぎて、覚えてへんねん。」
はーちゃん:「えぇえ!期待してたのに!頑張って思い出して!」
トクコ:「うーーん……思い出せない…
こ…今度何か言われたら、すぐメモするわw」
はーちゃん:「…えーーー…
でもまぁ、いい人そうで、良かったね」
トクコ:「うん。
…
あ、あのな、はーちゃん…」
はーちゃん:「…ん?」
トクコ:「…私、よく考えてみた。
はーちゃんから昨日言われたことも。」
はーちゃん:「…」
トクコ:「…前の会社の上司みたいな人を知っているからこそ…
私、リーダーやってみる…」
はーちゃん:「…そう?」
トクコ:「私は、あんな前の上司みたいはなりたくない。
でもじゃあ、自分がどうあるべきかが、まだ分からん。
仮に自分がアイツの立場やったら、どうするのか…
自分が上司やったら、どう部下に接してるのか。
それに、ああいう人と対峙したとき…
どう対応するかも知っていきたい。
ラクさんいい人っぽいし…
なんていうか、他の人と少し違う。」
はーちゃん:「…え?どういうこと?」
トクコ:「うまく言われへんねんけど…
今日カフェで話してるの見たら、ちょっと違和感あってん。
あれは観察とは少し違う。」
はーちゃん:「…へぇ…」
トクコ:「それに、『観察するのを、ちょっと止めろ』とも言われてる。
まず明日、会って話聞いてみる。
納得できそうやったら、リーダーやってみる」
はーちゃん:「…うん。いいかもね。
それでこそ、トクコだよ!な
んか、ようやく元気戻ってきたみたいだね」
トクコ:「うん!
ちょっと前の会社のことがあってへこんでたけど、
色々開き直ってきた!
環境も変わったし、またチャレンジしてみるわ!」
はーちゃん:(…それにしても、『観察を止めろ』か…
トクコのことを見抜いたうえでのことなのか…
それとも…)
参考文献について
なお、この「ラクとトクコの職場(ストーリー編)における「トクコの能力」は…
FBI、CIA、スコットランドヤード、アメリカ陸海軍、ナショナルガード、シークレットサービスなど、名だたる機関に対して行われた「エイミー・E・ハーマン」さんの「知覚の技法」を基に作っています。
つまり、実在する技法です。
(「イスパイアル」の名称は、私が勝手に物語を分かりやすくするためだけに作ったものですが…笑
そして、もちろん「5倍の速さで観測できる」というのも、本ストーリーオリジナルの設定です。)
まだまだ序の口なので、これからどんどん「実生活に活かせるような形」でご紹介できればと思います。
本書では、アートを教材として情報収集能力、思考力、判断力、伝達力、質問力などを鍛えるコツが記載されています。