ラク:「今後のこのチームのリーダーについて、お話ししたいと思います」
全員:「!!」
ラク:「…今後のこのチームを引っ張っていくのは、
トクコさんになります」
全員:「!!!」
ケンジ:「入社したてで…ですか?」
ラク:「えぇ。そうですね。ですので、何かと大変かと思います。
みなさん、サポートしてあげてくださいね」
マナミ:「えと…良ければ、その…
もちろんトクコさんは優秀な方だとは思うのですが。
就任の背景などを、教えていただけますか」
ラク:「そうですね…ではトクコさん、
たとえばリーダーになってしてみたいことや…
目指したいことはありますか?」
トクコ:「そうですね…
まず最初にお伝えしたいのは、私はリーダー職を行うのは初めてです。
未熟なことは間違いないので、お気づきのことがあればご指摘いただければ大変助かります。」
ユカ:「・・・」
トクコ:「目指したいものという大げさなものではないですが、私の前の職場では、
みんなやらなきゃいけないものが多いからか視野が狭くなり…
文字通りギスギスしていました。
いきなり色々変えるのは難しいですが、
皆さんの知覚をもっと利用すれば、きっといい職場になるはずです」
ケンジ:「知覚…ですか?」
ユカ:「具体的には、どのようなことをお考えなのでしょうか?」
トクコ:「そうですね…
では前の部署にもあった問題はここにもあると思うので、
皆様に少しお伺いしたいのですが…
率直に言って、情報過多になっていませんか?」
ユカ:「そ…そうですね。最近はもう情報がたくさんありすぎて…
メールやチャットもそうですが、それ以外にも社内イントラで情報が入ってきたり。
…正直、てんてこまいですね」
トクコ:「そうですよね。まるで情報の洪水のようですよね」
ツトム:「あまりに情報が多すぎて、全然頭に入っていないんだよな。」
マナミ:「ツトムさんはそんな感じしますよね」
ツトム:「おおぃ…フォローが欲しいなぁ(汗)」
ケンジ:「でも…
そんな状況をすぐに改善することなどできるのでしょうか?」
マナミ:「多すぎる情報に対処するなら…
優先順位をつけることはひとつの手段ですね」
トクコ:「確かに…あ、ではチーム全体として、
情報の優先順位をつけることはできるかもしれません。
それこそ、知覚の観点から」
ユカ:「それは、どんな方法なのでしょう?」
ラク:「今まさに、我々がしていること…ではないでしょうか?」
トクコ:「さすがラクさん。そのとおりです」
マナミ:「え…?」
ツトム:「今していること…って、この会話ですか?」
トクコ:「はい。そのとおりです。これももちろんバランスが大事ですが…
ただ、先ほどユカさんが仰ったようにメールやチャットが多いのは、
文字という二次元化された情報です。」
ユカ:「二次元化された情報…」
トクコ:「対処すべき問題によっては、
必ずしもそういったデジタルツールが適さない場合もあります」
マナミ:「なるほど…
メールなどだけでは、感覚や知覚、そして感情のようなものを、
ある意味放棄しているということになるわけですね?」
トクコ:「マナミさん、飲み込みが早いですね!」
ケンジ:「ボクたち興味を以て…
話を聞いていて、この話をしている…
それは2次元以上のものっていうことですね?」
トクコ:「そうです。
こうやって表情を見て、話して、声を聴いて…
そこには様々な情報があります。
目を開き、頭を使い感覚を研ぎ澄まして、注意を払うんです」
ツトム:「なるほどな。
さっそくやれるところからやっていきたいな」
マナミ:「でも、具体的にはどうやっていけばいいんだろう…」
トクコ:「そうですね…皆さん、
ミーティングでパソコンを持ち込んだり、
スライドを見たりなんてことはしていらっしゃいますか?」
ユカ:「えぇ。データを見たり、
スライドに書かれている資料を見たり…
基本的にスクリーン投影されたものを見て話していますね」
トクコ:「なるほど。もちろんそういったことも大事ですね。
ただ、チームの優先順位を話す際には…
うーん…たとえばデジタルツールの使用を最小限に抑えるとか‥
そんなことをしてみてもいいかもしれません。」
ユカ:「デジタルを、使わない…!」
ケンジ:「そうか。その方がみんなで話し合って、
それこそしっかり頭を使って、聴覚や視覚もフルに使えそうですもんね!」
トクコ:「そうです。
声のトーンやしぐさ、その場の熱量などが、
チーム全体の優先順位を決めるいいキッカケになるかもしれません。」
マナミ:「確かにメールやチャットだけでは、
どうしてもうまく伝わらないこともありますもんね…」
ラク:「…テクノロジーの便利さに頼るのではなく、
実際に目の前の現実と向き合うことか…フフ…」
トクコ:「ま、まぁそんな大げさなモノじゃないですが…
いずれにせよ、私はもっと皆さんの現場を知る必要がありますね。」
ツトム:「これを自分たちだけの部署でまず初めて、
可能ならよく関わりのある部署とも同じような交流を行ってみたいな」
ユカ:「それは良い提案ですね」
トクコ:「楽しみです!」
ラク:「ではそこは私が…何か考えてみますね」