(カフェの外。トクコが早足で歩いていく)
(トクコ: はぁ…はぁ…

ダメだ…
な、なに、
なに、なに、
あの感覚!
み、見られてる…?
いや、 どちらかというと…
“透かされてる”みたいな…)
??:「待って」
トクコ:「ひゃっ!!」

ラク:「ひゃっ…って…
何ですか💦
別に食べやしませんよ」
トクコ:「ごごごご…
ごめんなさい~!!」
ラク:「さっき、
僕のことずっと見てましたよね」

トクコ:「え、
ちがっ…
そんなつもりは…!」
ラク:「……」
ラク:「…あなた…
『見えてる』人、ですね」

(トクコ:また、この眼…
まるで私の心の中を…
… 読んでるみたい…)
ラク:「………
また、
お会いしそうですね」

(ラクが去っていく)
トクコ:「……誰なん、
あの子……」
??:「……おいラク。
今の女、何者だ?」

ラク:「…見えてる…
目の動き、呼吸のタイミング、
視線の遷移…
…無意識に拾ってた」
??:「ってことは……」
ラク:「……あれ…反応してる。
“タキサイキアの砂時計”が……」

??:「(ボソ)……あの小娘が、『鍵』なのか」
ラク:「え?」
バウ:「…いや…何でもない」
ラク:「…もしかして…
今の人が何か関係しているのかな…
僕と同じで、観る力も随分強かったし…」
バウ:「……」

(トクコ、会社に到着。面談室)

人事:「いやぁ~よく来てくれました!
ようやくお会いできましたね!」
トクコ:「どうもこんにちは!
実際にお会いするの、初めてですね」

人事:「ずっとオンラインでしたからね(笑)」
トクコ:「そうですねー」
人事:「…さて、トクコさん、
…初日ですが、緊張してませんか?」
トクコ:「あ、はい。大丈夫です。」

人事:「それは良かった。
実は、今日はちょっとご相談がありまして」
トクコ:「はい、なんでしょう…?」
人事:「実は、今…
ある部署でリーダーのポジションが空いてるんです」
トクコ:「えっ……」
人事:「あなたが採用面接でお話されていた“観察力”に、
大変興味を持っておりまして」
(トクコ:な…なんか、
嫌な流れ…

トクコ:「…あ…あのあの私、
リ、リーダー職は…その…
経験がなくて……」
人事:「未経験でも構いません!
むしろ、トクコさんのような方に…
新しい風を吹き込んでいただきたいんです!」
(トクコ:あ…新しい風…)
人事: 「トクコさんなら、むしろ経験を持たない分、
新しいアイディアが出るのではないでしょうか。」

(トクコ:こ…この、
ポジティブ人事め…)

トクコ: 「……ちょ、ちょっと考えさせてもらえますか。
この会社のことをもう少し知りたくて…」
人事:「もちろん、すぐに決めなくても結構です。
まずは社内の雰囲気を見てからでも。
ではゆっくり考えてみてください。」

トクコ: 「…ありがとうございます。」
人事:「あ、そうだ」
トクコ:「はい?」
人事:「ちなみに、教育係として、
『ラクさん』と言う方がついてくれますよ」
トクコ:「…はい?」

トクコ:「……ら、ラク……さん?」
人事:「おや、もう会いました?」
トクコ: 「あ、いえ…
そういうわけではないんですが…」
人事:「ちょっと特殊な事情がありまして……
でも信頼できる方ですよ」
トクコ:「……は、は、は、
そうですか…」
(トクコ:て…転職した初日が、これかい…)
