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(人事のオリエンテーションが終わり、オフィスから帰宅しようとするトクコ)
(トクコ : …あぁーーーー…疲れた。
やっぱ転職、しんどいな。
前の会社のしがらみは無くなったけど。
そもそもあの前の会社のアホ上司のメールが朝に来たのが、
今日疲れた一番の原因やな‥‥
そういえばラクさん、なんで人間の観察をするななんて言うんやろ…
なんか不快にさせたかな…
でも励ましてくれてたし、ええ人っぽいな…)
???:「ごきげんよう」
トクコ : 「え?
あ、ど、どうも、
ご…ごきげんようです…」
(トクコ : き…着物?
な…なんか、大人っぽいひとやなぁ…!
びっくりしたわ。
この会社、結構個性派が多いというか、なんというか…
まぁ自由な社風ってカンジはするなぁ…
(トクコ : うーん…年齢不詳…!
でも年上なのは、間違いなさそうやなぁ…
しかし今日は疲れたわ…
早く帰って、寝よ………)
ケンジ:「ユカさん、お疲れ様です」
ユカ:「あら、ケンジさん、ごきげんよう。
…あの、もしかして先ほどのブルーのストライプシャツの女性は…」
ケンジ:「あぁ、トクコさんっすか?
ウチに転職してきて、今日が初日だったみたいっす!」
ユカ:「あら、彼女が…そうなのですね。」
ケンジ:「最近、ラクさんの仕事範囲が増えてきて大変そうだから、
リーダー候補で採用されたみたいっすね!」
ユカ:「まぁ、リーダー候補で…」
ケンジ:「いやー!ラクさんの負担もこれで少なくなるし!
ボクらの負担もついでの軽くなれば、言うことなし!ハハハ!」
ユカ:「…そうですね」
ケンジ:「トクコさん、入社したてで分からないこときっと多いだろうから、
色々助けてあげながら、一緒に頑張っていきましょうね!」
ユカ:「……」
ケンジ:「…ユカさん…?」
ユカ:「…あ、え、えぇ。もちろんですわ。
今日は別の用事があってお話しできなかったけど、
明日お話しできるのを楽しみにしております。」
ケンジ:「ですね!!」
(その頃、オフィスの会議室で…)
バウ:「ラク、おめぇホントにあのお嬢ちゃんをリーダーに据えるつもりか?」
ラク:「…どうしましょうね…」
バウ:「まだちょっと、早ぇんじゃねぇの?
今日見て分かっただろうが、まだ不安定だぞ」
ラク:「…でもあの人は、バウさんの予知夢に出てきた方でしょ?」
バウ:「…まぁ…そうだが……」
ラク:「…大丈夫。なんとかなりますよ」
バウ:「珍しいな。おめぇにしては楽天的じゃねぇか」
ラク:「そうですか?」
バウ:「いつもなら、理屈っぽく何か言うだろ」
ラク:「……うーん…
彼女、前の会社の上司に対して、
怒ってたんでしょ?」
バウ:「あぁ。なかなかヘビーなメールだったぞ、あれは…」
ラク:「…その『怒ってた』っていうのが、大事かなって」
バウ:「どういうことだ?」
ラク:「…きっと彼女、ちゃんと前の上司にもキチンと話したと思うんです。
自分がちゃんと仕事をやったこと。」
バウ:「あぁ。本人もそう言ってたな」
ラク:「…それでも、状況が変わらなかった。」
バウ:「……」
ラク:「彼女の中には今、『こんな上司はイヤだ』というイメージが
クリアにあります。だからこそ、チャンスなのかなって」
バウ:「……まぁ、ワシと考えることは同じだな」
ラク:「…じゃ、決まりですね」
バウ:「……おい、ラク」
ラク:「…はい?」
バウ:「おめぇも、あんま根詰めんなよ」
ラク:「…はい」
バウ:「でも、今度からもっといい感じの部下の励まし方は、考えとけよ」
ラク:「……最善を尽くします……」