~エピソード 0~

「考えすぎ。聞き流せば良いんだって。」

「とりあえずサッサとやればいいんだよ。」

「休む…って、この、クソ忙しい時期に?」

「着歴残ってるでしょ。折り返し遅くない?」

「週末やるしかないんじゃない?」

…あぁ、

…今日もみんな、ギスギスしてんなぁ。

…なんでやろ。

1日何百ものメールチェックして、

1日何十件もの電話受けて、

あちこちでプレゼンして、

客や会社の人間に気遣って、

それをこんな短時間で大量にやってたら、

質もガタ落ちで、ただ「仕事やってるだけ」みたいな…

その結果、またミスして

それをカバーしなあかんかったら、

そらギスギスもするわなぁ…

 

…トクコ…!

 

…トクコ!!

 

…トクコ!!!

トクコ:「うーーーーん……」

トクコ:「………おぉ、夢か。」

 

植物の声:「大丈夫…?随分うなされてたけど…」

 

トクコ:「…今、何時?」

植物の声:「朝5時…くらいかな」

 

トクコ:「…早いなぁ」

 

植物の声:「あまり、寝れない?」

 

トクコ:「……夢で…思い出してしまって…

………ええわ、もう起きて着替えよ」

植物の声:「……しばらく、羽伸ばしたら……?」

 

トクコ:「……いや………大丈夫」

 

植物の声:「今日から、新しい会社だよね?」

 

トクコ:「……うん…」

 

植物の声:「何、やるの?」

 

トクコ:「……ペットフードの会社で…マーケティング。

しかも…なんかちょっとリーダー職の話も出てるんよなぁ…」

植物の声:「えぇ!??

トクコが??

…大丈夫?」

 

トクコ:「……何が?」

 

植物の声:「…これまで以上に、

人と関わりそうだけど」

 

トクコ:「………せやな」

 

植物の声:「…また色々『見えて』しまったら、今度こそ病まない?」

 

トクコ:「………せやな」

 

植物の声:「…せやなせやなって…」

 

トクコ:「…あ、でも…

…って…あれ?はーちゃん?」

植物のはーちゃん:「え?」

 

トクコ:「昨日よりちょっと葉っぱ増えてへん?」

 

植物のはーちゃん:「えぇ!?そ、そうかなぁ(照)」

 

トクコ:「あ、違うわ。

 

…なんか、ちぎれてるわ

 

植物のはーちゃん「ぎやぁぁあああ!!」

 

トクコ:「まぁ…

…言うても2ミリくらいかな。

少しだけ。他は大丈夫。」

 

植物のはーちゃん:「なんだ、じゃあいいや。驚いて損したよ」

トクコ:「いいんや💦」

植物のはーちゃん:「それにしても…

相変わらずよく見てるね…」

 

トクコ:「うーん……

見えるんよねぇ……

あ、やばい!

もうこんな時間!

ちょお、私もう行くわ。

カフェで朝ごはん食べる!

はーちゃん、戸締りしとってな」

植物のはーちゃん「…えー!

じ、自分、植物ですから!」

 

トクコ:「ははは、冗談やって」

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