「上司を出せ」の「とっさの対応5つ」と「3つの出口戦略」
こんにちは!ラクです。
「お前じゃ話にならん!上司を出せ!責任者を出せ!」
こう言われると、「自分の対応が悪いのか?」思ってドキっとしますよね…
でも、心配しないでください。
世の中…やっぱりヘンな人というのはやはり一定数いるものです。
上司を出す必要はありませんし、むしろ出すことにメリットはありません。
顧客は付け上がり、あなたの社内評価は下がります。
今回のブログは、実際にクレーム課で働いていた方の経験を基にしています。
このブログを読むことで、「上司を出せ」と言われたときの「とっさの対応」と「出口戦略」が分かるようになります!
ライター紹介

- 業界最大手の欧州企業(従業員10万人以上)で、14年マネジメント(年収1500万)
- 今はアメリカ・ヨーロッパ・アジアで計100人以上の組織を動かすが、これまで数回カウンセリングも受け、ストレスで休暇を取ったこともある
- ビジネス実務法務2級・英検1級・TOEIC940点
「上司を出せ!」に対する、とっさの対応
いきなりのクレームに対し、対策など立てようもありません。
まずは以下を念頭において、その場の対応に当たりましょう。
1.「上司を出せ」に対しては、「私が担当する」と言い切る
2.「不快な気持ちにさせた」ことへの謝罪の意は示す(損害への謝罪ではない)
3.「まずは話を聞かせて欲しい」と伝え、「上司を出せ」から論点をずらす
4.要点を聞き終えたら「社内確認して折り返す」と伝え、いったん切る
5.クレーム内容を上司や関係各所と確認し、再度連絡する
最初の「上司を出せ!」に関しては、ここまでできていれば十分です。
対応を終えてどのように対処するべきかは、ちゃんと時間をかけて考えていきましょう。
なぜ「上司を出せ」なのか?
なぜあなたではなく「上司を出せ」なのか…
その根本には、多くの場合「損を取り返したい」という気持ちがあります。
「上司を出せ!」と言うのは、多少なりとも権限のある上の人間を出してもらうことで、
自分が感じている「損」が補填されると考えているからでしょう。
以下は日本労働組合総連合が2017年に一般消費者1000人を対象に行った調査です。(複数回答形式)
1位「たらい回し」42%
2位「消費者に落ち度があるような言い方」35%
3位「失礼な言葉づかい」34%
(詳しい内容をお知りになりたい方は、こちらから)




つまり…「まず利益っぽいものを相手に提示する。
相手がそれを利益と感じてくれたかどうか」
…これがクレームを落ち着かせるコツと言えます。
うまくいけば相手が「自分の損失は埋められた」という風に感じ、クレームを引っ込めます。
3つの出口戦略(対処)
ここからは少し細かく見ていきます。
大切なのは上司を出すのではなく、「出口戦略」と「会話例」についてイメージを持っておくことです。
(少し比喩表現ですが、損害を最小限にとどめる戦略と思ってください。)
1.「損を埋めたい」という顧客の感情に配慮
2.発生している問題を解決
3.自社の法益保護




フローにして表すと以下のようになります。
この3つの出口戦略について、会話例を知っておくことが、ラクに対応するコツです。
具体的に見ていきましょう!
1-1. 顧客の感情への配慮(ポイント)
まずは、「上司を出せ」とカッとなって怒っているという感情部分への対応です。
こちらが真摯に対応する姿勢が、相手の「損した」という気持ちを埋められるならベストです。
①自分が対応窓口であるということを伝える
相手の言いなりになって上司を出してしまうと、一度相手の要求を呑んだことになります。ここが既に相手の心理作戦にハマってしまう入り口です。止めましょう。
②しばらく様子を見る
怒ることはエネルギーを使うので、長続きしないです。相手の言い分を聞いているだけでも、トーンダウンしてくる可能性があるので、様子を見ながら聞いてみましょう。
③相手の味方っぽく振る舞う
「上司を出せ!」と言われたのに対し、「上司と話すともっと条件が厳しくなるかと思う…私が何とか取り次ぎたい」という感じで相手の懐に入り、話をしてもらいます。
1-2. 顧客の感情への配慮(会話例)
では、会話例を見てみましょう!
相手①:「お前じゃ話にならん!お前の上司を出せ!」
自分①:「恐れ入りますが、私が御社の担当です。私が今承りますがいかがでしょうか?」
相手②:「お前じゃダメなんだよ!いいから上司を出せ!」
自分②:「そうは申されましても…宜しければお話を伺えますか?はい、はい…それは申し訳ありません…」
相手③:「お前、謝ってるだけじゃねーか!もういいから上司を出せよ!」
自分③:「私の上司と話されると、条件が更に厳しくなるかと存じます。私がお取次ぎいたしますが、いかがでしょうか?」
2-1. 発生している問題の解決(ポイント)
残念ながら、単純にお詫びで終わらないケースがあります。
それは、「目に見える解決を求めている場合」です。
「今後の解決策を示した文書」なのか、「代替品」なのか、「金銭」なのか…
時と場合によりますが、要は「なんかよこせ」ってことですね。
①会話の全体的な流れを意識する
主な流れは「謝罪」→「状況把握」→「解決策の提案」です。ここをイメージしておきましょう。
②絶対にその場で合意しない
何を言われても、絶対すぐに自分個人では合意しないようにしましょう。「社内で確認します」が適切です。
③会話の終盤は、自分の言葉で話す
相手が言っていることについて、自分の理解が合っているかどうか確かめるような感じで対応しましょう。相手も落ち着いてくることがあります。
2-2. 発生している問題の解決(会話例)
ではこちらも、具体的な会話例を見てみましょう!
相手①:「この案件、おたくの会社で賠償してくれるんだよな?」
自分①:「恐れ入りますが、すぐにお返事することは難しいです。社内関係者と確認のうえ、折り返しご連絡いたします。」
相手②:「問題が全然分かってねーんじゃねぇのか??いい加減にしろよ!」
自分②:「申し訳ございません。商品欠陥がお怒りの原因だと理解しております。代替品でしたらすぐにお送りできますが、いかがでしょうか?」
相手③:「じゃあもうこの件は、ちゃんと誠意を示してくれるんだよな?」
自分③:「念のため確認させていただきますが、賠償金xx万円をご要望ということと理解しています。宜しいでしょうか?」




もし損害賠償請求が後日入り、「お前、謝ったよな!」って言われても…
「お客様をご不快にさせてしまったことについてのお詫びで、
賠償をさせていただくことについての話は一切しておりません」と言い切ります。
3-1. 自社の法益保護(ポイント)
ここまでの対策でも対応できない場合…それは「悪質クレーマー」の可能性があります。
自分が被った被害を過剰に捉えているか、あるいは意図的に損失以上の補填を求めているような場合です。
ここまで来ると、あなただけが応対することは危険です。必ず上司と連携しましょう。
①法律に触れている可能性を示唆する
精神攻撃を行ってくる場合があります。その場合は法律に触れている「可能性」を示唆しましょう(下部に法律の詳細があります)
②電話での応対を止め、メールに切り替える
もう長く話すことに生産性がありません。上司とも相談し、メールに切り替える方法を模索しましょう。
③録音を開始する
悪質な相手には黙って録音を開始してもいいですし、相手の過激な言動を抑止するため「録音を開始する」と伝えてもいいです。
3-2. 自社の法益保護(会話例)
ではこちらも、具体的な会話例を見てみましょう!
相手①:「テメぇ!ふざけてんじゃねぇぞ!ぶっ殺してやる!」
自分①:「少し言葉が過ぎませんか?それ以上は我々も業務妨害として然るべきところに届け出ますが、宜しいですか?」
相手②:「だからさっきから言ってるじゃねーか。誠意を見せろって!」
自分②:「恐れ入りますが、御社のご要望をきちんと理解し、関係者と文書の形で共有するためメールに切り替えさせていただきます。アドレスをお伺いして宜しいでしょうか?」
相手③:「メルアドを教えろだ??そんな面倒なことするか!」
自分③:「分かりました。では恐れ入りますが記録保持のため、録音を開始させていただきます。」




補足:法律上の規定
相手が罵倒して脅してきたり…精神的苦痛を与えるような行為取ることがあります。
それらは、威嚇行為にあたる可能性があります。
威嚇行為は、犯罪です!
業務妨害罪が成立することがあります。
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
業務の安全かつ円滑な遂行は、法律の利益(法益)として保護されます。
個人的な誹謗中傷を繰り返す相手に対して、社員1人だけに対応を任せてはいけません。
メールなどに切り替えて、お互いの話を記録に残すようにしましょう。
そうすることで、1対1で対応することにはならず、かつ記録に残すことができます。
一人で悩まない
自分だけでどうこうしようとすると、視野が狭くなりがちです。
会社の誰かに相談できないのであれば、少しカウンセリングの方法も検討してみてはいかがでしょうか。
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登録は無料なので…準備だけでも今整えておくことをオススメします。