(トクコ:な…なんか、すごい光景やったなぁ…
子供なのに堂々としてるというか。
ていうか、大人の2人組の方がずいぶん腰が引けてたな…
特別な子供なんやろか…
いずれにしても…
また無意識で、『観察』してもうたなぁ…
トクコ:「あ、確かオフィスはこの辺りかな…」
人事:「いやぁ~よく来てくれました!歓迎しますよ!」
トクコ:「どうもこんにちは!実際にお会いするの、初めてですね」
人事:「ずっとオンラインでしたからね(笑)」
トクコ:「そうですねー」
人事:「…さて、トクコさん、私たちはあなたが採用試験の際にお話になった
『物事を良く観察し、注意力を向けることが得意』というスキルに、興味を持っていましてね。」
トクコ:「は、はぁ・・・」
人事: 「実は…以前少しお話させていただいたように、
ちょうどリーダーのポジションが空いているんです。」
トクコ:「……」
人事:「私たちはトクコさんが持つその観察力と注意力を活かして、
部署をリードしていただきたいと考えているんですよ。」
トクコ: 「で、でも私はまだ新しい環境に馴染んでいなくて…」
人事: 「それがいいんです。新しい風を入れてくれる人が必要なんです。
トクコさんなら、経験を持たない分、新しいアイディアが出るのではないでしょうか。」
トクコ: 「で、でも、私、リーダーって……やったことがなくて…」
人事: 「そうですね。でも、管理職をやるときって、
みんなやったことが無い状態から始めるんです(笑)」
トクコ: 「……ちょ、ちょっと考えさせてもらえますか。
まずはその部署の方たちともお会いしたり、
この会社のことをもう少し知りたくて…」
人事: 「そうですね。分かりました。まだ少し時間はありますので、
ではゆっくり考えてみてください。」
トクコ: 「…ありがとうございます。」
人事:「ちなみにあなたに色々教えてくれる上司の方は、ラクさんと言います。」
トクコ: 「え??あの…子供の方ですか!??」
人事: 「おや、もうお会いになられたのですか?」
トクコ: 「あ、いえ…そういうわけではないんですが…」
人事: 「そうですか。
少し彼には事情がありましてね…
まぁ、もしあなたがリーダー職に就くことになれば、
きっと彼と話をする機会もあるでしょう。
今日ぜひ家に帰って、ゆっくり考えてみてくださいね。」
トクコ: 「は…はぁ…すみません。ありがとうございます。」
(トクコ:はぁ…なんかまた、妙なことになったなぁ…
でもリーダーなんかやったら、きっとまた嫌な思いをする。
周りに迷惑もかけるし…
不安・不満・疲労…
孤独・挫折・無力感…
不公平感・緊張感…
たとえそれを周りが言葉にしなくても、
私はきっと過敏に感じてしまう。
…職場なんて、こんなもんなんかなぁ…)
トクコ: 「………家に帰って、はーちゃんに相談してみるか…」